「なんとなく気持ち悪い」「吐き気が続いて食事がとれない」。吐き気はとても身近な症状ですが、原因は胃腸だけとは限りません。薬の影響や妊娠、頭痛やめまいを起こす病気、糖尿病などの代謝の異常、そして心臓の病気でも吐き気が出ることがあります。
そのため、吐き気の原因を考えるときは、吐き気そのものよりも「いつから・どのくらい続いているか」「一緒にどんな症状が出ているか」「水分がとれているか」が大切な手がかりになります。
この記事では、一緒に出る症状から考えられる病気、受診を急ぐべきサイン、何科を受診すればよいかを、文京区・護国寺の内科・循環器内科の立場から整理します。
冷や汗を伴う強い吐き気、胸の強い圧迫感、急な息苦しさ、突然の激しい頭痛などがある場合は、この先を読み進める前に、すぐ下の「吐き気で受診を急ぐサイン」を確認してください。
吐き気で受診を急ぐサイン|119番・医療機関へ相談する目安
吐き気の多くは一時的なものですが、なかには早く治療を始めることが大切な病気が隠れていることもあります。まず、急いで対応すべき状態かどうかを確認しましょう。
救急車を呼ぶことを検討する症状
以下は、消防庁が「ためらわず救急車を呼んでほしい症状」として示しているもののうち、吐き気と一緒に起こりうる症状です。当てはまる場合は、119番に連絡してください。
- 冷や汗を伴うような強い吐き気
- 胸の中央が締めつけられる、または圧迫されるような痛みが2〜3分続く
- 胸や背中の突然の激しい痛み、急な息切れ・呼吸が苦しい
- 突然の激しい頭痛、突然の高熱
- 顔の片側が動きにくい・しびれる、ろれつが回らない、見える範囲が狭くなる、物が二重に見える、片方の腕や足に力が入らない
- 支えがないと立っていられないほど、急にふらつく
- 突然の激しい腹痛、激しい腹痛が続く
- 血を吐く、便に血が混じる・真っ黒い便が出る
- 意識がおかしい(返事がない、もうろうとしている)、ぐったりしている
高齢の方は、自覚症状がはっきり出ないことがあります。消防庁の資料では、「いつもと違う」「様子がおかしい」という場合も、ためらわず救急車を呼んでほしい場合に含まれています。
また、日本循環器学会のガイドラインでは、心筋梗塞などの急性冠症候群(心臓を養う冠動脈の血流が急に悪くなる病気)が疑われる症状が出た場合は、自分で医療機関を受診するのではなく、ただちに119番通報して救急車を呼ぶ必要があるとされています。
速やかに医療機関へ相談したい吐き気
救急車を呼ぶ目安には当てはまらなくても、当日中、あるいはできるだけ早めに医療機関へ相談したいのは次のような場合です。
- 水分をとってもすぐに吐いてしまう、尿の量が明らかに少ない、口が渇いてふらつく(脱水が心配な状態)
- 何度も吐いている、吐き気が強くて食事も水分もほとんどとれない
- 胸の締めつけや冷や汗などはないものの、軽い胸の不快感や動悸を吐き気と一緒に繰り返している
- 糖尿病の治療中で、食事や水分がとれない、または口の渇き・尿が多い・強いだるさを伴う
- 妊娠中、または妊娠の可能性があり、水分も十分にとれない
- 高齢の方や持病のある方で、吐き気とともに元気がない・食べられない
吐き気で特に注意したいのは脱水です。脱水がひどい場合は、医療機関での点滴などの治療が必要になることがあります。「水分がとれているか」は、受診を急ぐかどうかを判断する大切なポイントです。
症状が続く・繰り返す場合は受診を検討したい吐き気
急を要する状態ではなくても、次のような場合は一度内科を受診して原因を確認しましょう。
- 吐き気が何日も続く、または良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 食事の量が減った、体重が減ってきた
- 吐き気とともに、胃もたれ・みぞおちの痛み・胸やけが続いている
- 新しく飲み始めた薬や、量を変えた薬がある
- 市販薬を使っても良くならない
判断に迷うときの相談先
「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ病院に行くべきか」迷ったときは、救急相談窓口を利用できます。東京都では、東京消防庁救急相談センター(#7119)が、医師・看護師・救急隊経験者などの相談医療チームにより24時間365日対応しています。
#7119がつながらない場合は、23区からは03-3212-2323、多摩地区からは042-521-2323でも相談できます。
また、東京消防庁のホームページにある「東京版救急受診ガイド」や、消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」では、症状を選んでいくことで緊急度の目安を確認できます。かかりつけ医がいる方は、かかりつけ医に相談するのもひとつの方法です。
なお、相談窓口はあくまで判断の手助けです。明らかに緊急性の高い症状があるときは、迷わず119番に連絡してください。
吐き気とは?
吐き気(悪心)と嘔吐の違い
吐き気は医学用語で「悪心(おしん)」といい、「吐いてしまいそう」という不快な感覚を指します。「気持ち悪い」「むかつく」「吐きそう」と表現されることの多い症状です。
一方、嘔吐は胃の中のものを実際に吐き出すことです。吐き気だけで終わることもあれば、嘔吐を伴うこともあります。
受診の際は、「吐き気だけか、実際に吐いたか」に加えて、吐いた回数や吐いたものの様子(血が混じる、黄色や緑色の液が出るなど)も伝えてください。原因を考える手がかりになります。
一時的な吐き気と続く吐き気
飲酒のあとや乗り物酔い、感染性胃腸炎にかかったときなど、きっかけがはっきりしている吐き気は、時間とともに治まっていくことが多いものです。
一方で、次のような吐き気は、背景にある原因を確認したほうがよい吐き気です。
- はっきりしたきっかけがないのに続いている
- 同じような吐き気を何度も繰り返している
- 吐き気以外の症状(胸の症状、頭痛、めまい、体重減少など)を伴う
吐き気だけのとき・吐き気が続くときに考えること
吐き気だけで他の症状が目立たない場合
腹痛や下痢、発熱などがなく「吐き気だけ」がある場合は、まず次の点を振り返ってみてください。
- 薬:新しく飲み始めた薬や、量を変えた薬はないか。鎮痛薬(医療用麻薬のオピオイドや、解熱鎮痛薬)、抗菌薬、抗がん剤などは吐き気の原因になることがあります。
- 飲酒:お酒の量が増えていないか
- 妊娠:妊娠の可能性はないか(月経の遅れなど)
- 持病:糖尿病や心臓病などの持病はないか
- 暑さ:暑い環境で長く過ごしていないか。熱中症では、頭痛や吐き気、体のだるさが出ることがあります。
吐き気だけが目立つ場合でも、心臓の病気が関係していることがあります。日本循環器学会のガイドラインでは、心筋梗塞などの急性冠症候群で、高齢の方、糖尿病のある方、女性では典型的な胸の痛みとは異なる症状がしばしばみられるとされています。
「いつもの胃の不調と違う」「だるさが強い」「体を動かしたときに出る」といった場合は、胃腸だけの問題と決めつけず、早めに受診してください。冷や汗を伴う強い吐き気や、胸の締めつけ・急な息苦しさがある場合は、119番に連絡してください。
ストレスや緊張が続いたときに吐き気を感じる方もいますが、「ストレスのせい」と判断するのは、ほかの原因がないことを確認してからにしましょう。
数日〜数週間続く吐き気
吐き気が数日以上続く、あるいは数週間にわたって繰り返す場合は、原因を一つずつ確認していく必要があります。
長引く吐き気の背景には、胃や腸の病気、薬の影響、妊娠、糖尿病などの全身の病気、片頭痛やめまいを起こす病気など、さまざまなものがあります。
吐くことを繰り返す、発熱を伴う、体重が減っている、症状が長引くといった場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関で原因を確認しましょう。
食事や水分がどのくらいとれているか、体重の変化、吐き気が出やすいタイミング(空腹時・食後・朝など)をメモしておくと、診察の際に役立ちます。
一緒に出ている症状から考える
吐き気の原因を絞り込むうえで、最も役に立つのが「一緒に出ている症状」です。ここでは代表的な組み合わせごとに、考えられる原因と受診の目安をまとめます。
胸の痛み・冷や汗・息苦しさを伴う
吐き気に、胸の痛みや圧迫感、冷や汗、息苦しさが加わっている場合は、心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群を考える必要があります。
急性冠症候群の胸の症状は、「重苦しい」「締めつけられる」「圧迫される」「焼けつくよう」などと表現されることが多く、あご・首・肩・みぞおち・背中・腕に痛みが広がることもあります。
日本循環器学会のガイドラインでは、一緒に出る症状として、男性では冷や汗が、女性では吐き気・嘔吐や息苦しさが多いとされています。また、胸には症状がなく、みぞおちや肩などだけに症状が出ることもあります。
吐き気に加えて、胸の締めつけ・圧迫感、冷や汗、急な息苦しさなど、急性冠症候群を疑う症状がある場合は、少し楽になったように感じても自己判断で様子を見たり、自分で医療機関へ向かったりせず、119番に連絡してください。
こうした救急のサインがなく、軽い胸の不快感や動悸が続く・繰り返すという場合は、早めに内科・循環器内科を受診しましょう。
次のような方は、特に早めの受診をおすすめします。
- 体を動かしたときに症状が出る
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙などの危険因子がある、心臓病の既往がある
胸の痛みそのものについては「胸痛とは?考えられる原因と受診の目安」も参考にしてください。
動悸や息切れを伴う場合は「動悸・息苦しい・胸が痛い(循環器内科)」も参考にしてください。
頭痛を伴う
頭痛と吐き気が一緒に出る代表的な病気に、片頭痛があります。
日本頭痛学会によると、片頭痛はズキズキと脈打つような痛みが発作的に起こり、光や音、においに敏感になったり、吐き気や嘔吐を伴ったりすることが多い頭痛です。
これまでにも同じような頭痛を繰り返している場合は、こうした頭痛の一部として吐き気が出ていることがあります。
一方、次のような場合は脳卒中などの脳の病気が隠れていることがあります。消防庁が救急車を呼んでほしい症状として示しているものなので、119番に連絡してください。
- 突然の激しい頭痛
- 顔や手足のまひ・しびれ、ろれつが回らない、物が二重に見えるなどが突然現れた
- 意識がおかしい
- 突然の高熱を伴う
暑い環境にいたあとに頭痛・吐き気・だるさが出た場合は、熱中症も考えられます。
頭痛の種類や受診の目安については「頭痛が続く原因は?受診の目安と危険なサイン」で詳しく解説しています。
めまい・ふらつきを伴う
めまいと吐き気は、一緒に起こりやすい組み合わせです。
日本めまい平衡医学会の「めまいQ&A」では、急に起こるめまいはぐるぐる回る回転性のものが多く、吐き気や嘔吐がみられると説明されています。回転性のめまいは、内耳(耳の奥にある、体のバランスを感じる器官)から起こることが多いとされています。
めまいと一緒に出ている症状によって、考える場所と受診先が変わります。
- 意識が遠のく、物が二つに見える、ろれつが回らない、手足のまひ、激しい頭痛を伴う:脳の病気によるめまいが考えられます。こうした症状が突然現れた場合は、119番に連絡してください。
- 支えがないと立っていられないほど、急にふらつく:消防庁が救急車を呼んでほしい症状として示しています。119番に連絡してください。
- 突然、初めて経験するめまいで動けない:めまいQ&Aでは、救急外来の受診が勧められています。
- 聞こえにくい、耳鳴り、耳がつまった感じを伴う:耳の平衡器官によるめまいが考えられ、早期の治療が必要なことがあるため、耳鼻咽喉科への早めの受診が勧められています。
めまいQ&Aでは、脳卒中によるめまいでは、ろれつや手足などの症状がめまいと同時ではなく、前後して出てくることもあるとされています。
はじめはめまいと吐き気だけでも、あとから言葉や手足の症状が出てきた場合は、すぐに119番に連絡してください。
また、立ち上がったときに目の前が暗くなるような立ちくらみも、広い意味でめまいに含まれます。血圧を調整する自律神経の働きが関係しています。
腹痛・下痢・発熱を伴う
吐き気に下痢や腹痛、発熱が加わっている場合は、感染性胃腸炎などが考えられます。
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などさまざまな病原体によって起こる病気をまとめた呼び方で、冬に流行しやすいノロウイルスもその原因のひとつです。
厚生労働省によると、ノロウイルスでは感染から24〜48時間ほどで吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などが現れ、通常は1〜2日ほど症状が続いたあとに回復するとされています。
これはノロウイルスについての説明で、ほかの原因による胃腸炎では経過が異なることがあります。
ノロウイルスに効く抗ウイルス薬はなく、治療は水分や栄養の補給などの対症療法が中心です。また、下痢止めは回復を遅らせることがあるため、使わないことが望ましいとされています。
胃腸炎の症状があるときも、脱水に気をつけてください。水分がとれない、尿が少ないといった場合は早めに受診しましょう。
ぐったりしている、意識がおかしいといった場合は、119番に連絡してください。
家族や職場など周囲に同じ症状の人がいる場合は、受診時に伝えましょう。
一方で、腹痛が強い場合は、虫垂炎や膵炎、胆のうの炎症、腸閉塞など、胃腸炎以外の病気のこともあります。突然の激しい腹痛や、激しい腹痛が続く場合は、119番に連絡してください。
腹痛が中心の場合は「腹痛の原因は?痛む場所・症状別に考えられる病気と受診の目安」も参考にしてください。
発熱が中心の場合は「発熱・風邪症状・腹痛・ぜんそく(一般内科)」も参考にしてください。
みぞおちの痛み・胸やけ・胃もたれを伴う
吐き気とともに、みぞおちの痛みや焼けるような感じ、胸やけ、胃もたれがある場合は、胃や食道、十二指腸の病気を考えます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍や、逆流性食道炎(胃酸が食道に逆流して炎症を起こし、胸やけのような焼ける感じが出る病気)などが代表的です。
また、胃もたれ、食べ始めてすぐにお腹がいっぱいになる「早期飽満感」、みぞおちの痛み・焼けるような感じが慢性的に続いているのに、検査で胃潰瘍や胃がんなどの異常が見つからない場合は、「機能性ディスペプシア」という病気のことがあります。
胃の動きや感じ方(知覚)の不調などが関係すると考えられています。
日本消化器病学会の患者さん向けガイドでは、こうした胃の症状があり、嘔吐を繰り返す、発熱がある、体重が減っている、治療をしても良くならないといった場合は、胃がんや潰瘍などがないかを確かめるために、胃カメラなどの検査を行うとされています。
なお、みぞおちの痛みは心臓の病気で起こることもあります。冷や汗や息苦しさを伴う、体を動かすと出るといった場合は、前述の「胸の痛み・冷や汗・息苦しさを伴う」もあわせて確認してください。
のどの渇き・尿が多い・だるさを伴う(糖尿病のある方)
糖尿病のある方で、吐き気に加えて、のどの渇き、水をたくさん飲む、尿が多い、強いだるさ、体重減少などがある場合は、血糖が著しく高くなっていることがあります。
日本糖尿病学会によると、糖尿病ケトアシドーシス(インスリンの作用が足りず、脂肪が分解されてできる「ケトン体」が増えて、血液が酸性に傾く状態)は、のどの渇き・多飲・多尿・全身のだるさ・体重減少といった症状に続いて起こります。
進行すると、吐き気・嘔吐・腹痛などが現れることがあります。
また、SGLT2阻害薬という糖尿病の飲み薬を使っている方では、血糖値がそれほど高くないのにケトアシドーシスが起こることがまれにあり、注意が必要とされています。
糖尿病の方が、感染症による発熱・下痢・嘔吐や、食欲不振で食事がとれない状態を「シックデイ」と呼びます。
糖尿病情報センターは、嘔吐や下痢が止まらないとき、丸1日ほとんど食事がとれないとき、血糖値350mg/dL以上が続くとき、意識の状態に変化があるときなどは、すぐに医療機関へ連絡・受診するよう呼びかけています。
インスリンを使っている方は、自己判断で中断しないことも大切です。
シックデイのときの薬の調整は、あらかじめ主治医と相談しておくと安心です。
糖尿病そのものについては「糖尿病とは?原因・症状・検査・治療・予防までわかりやすく解説」をご覧ください。
吐き気の主な原因|カテゴリー別の整理
吐き気の原因は多岐にわたります。主なものをカテゴリー別に整理すると、次のようになります。
表にあるものがすべてではなく、また吐き気があるからといって、これらの病気とは限りません。
| カテゴリー | 主な原因の例 | 手がかり |
|---|---|---|
| 消化器 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、腸閉塞、胆のう・膵臓の病気、虫垂炎、機能性ディスペプシア(胃もたれやみぞおちの症状が続く場合) | 腹痛、みぞおちの痛み、胸やけ、胃もたれ、便通の変化 |
| 感染症 | 感染性胃腸炎(ノロウイルスなど) | 下痢、腹痛、発熱、周囲での流行 |
| 薬剤 | 鎮痛薬(オピオイド、解熱鎮痛薬)、抗菌薬、抗がん剤 | 薬を始めた・変えた |
| 脳・神経 | 片頭痛、脳卒中(脳出血・脳梗塞など) | 頭痛、手足のまひ、ろれつが回らない、物が二重に見える |
| 耳・平衡感覚 | 良性発作性頭位めまい症、メニエール病、乗り物酔い | 回転性のめまい、聞こえにくさ・耳鳴り、頭を動かしたときのめまい |
| 妊娠 | つわり、妊娠悪阻 | 月経の遅れ、妊娠初期 |
| 代謝・内分泌 | 糖尿病の急性合併症(ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖状態) | のどの渇き、多尿、強いだるさ |
| 心臓 | 心筋梗塞・不安定狭心症(急性冠症候群) | 胸の圧迫感、冷や汗、息苦しさ、みぞおち・肩などの痛み |
| その他 | 熱中症、不安・緊張などの心理的な要因 | 暑い環境、ほかの原因が見つからない |
妊娠の可能性・服用中の薬を忘れずに確認
吐き気の原因として見落とされやすいのが、妊娠と薬です。
妊娠
妊娠初期の吐き気(つわり)は多くの人が経験します。
厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」に掲載されている産婦人科医のコラムでは、だいたい妊娠6週頃から始まり、12週頃には落ち着くことが多いと説明されています。
一方で、食べ物はもちろん水分も十分にとれない状態は「妊娠悪阻(にんしんおそ)」という治療が必要な状態です。嘔吐を繰り返すと、脱水や体重減少が進むことがあります。
妊娠の可能性がある方は、受診時に必ず伝えてください。妊娠中の方は、かかりつけの産婦人科への相談が基本です。
薬
新しく始めた薬や、量を変えた薬が吐き気の原因になっていることがあります。
受診の際はお薬手帳を持参し、市販薬も含めて伝えてください。
薬が原因と思われる場合でも、インスリンのように自己判断でやめると体調が悪化するおそれのある薬もあります。中止や変更は、処方した医師や薬剤師に相談してから決めましょう。
吐き気は何科を受診する?
どこに行くか迷うときは内科へ
吐き気は胃腸、脳、耳、心臓、代謝などさまざまな原因で起こるため、最初からどの専門科が適切かを判断するのは難しいものです。
どこに行けばよいか迷う場合は、まず内科を受診し、全身の状態を確認したうえで、必要に応じて専門の診療科につなげてもらうのがスムーズです。
ただし、「救急車を呼ぶことを検討する症状」に当てはまる場合は、診療科を選ぶよりも先に119番に連絡してください。
症状別の受診先の目安
まず確認:緊急性の高い症状がある場合
冷や汗を伴う強い吐き気、胸の締めつけ・圧迫感が続く、急な息切れ、突然の激しい頭痛、手足のまひやろれつが回らない、意識がおかしいなどの症状がある場合は、診療科を選ぶ段階ではありません。
119番に連絡してください。
緊急性の高い症状がない場合
- どこに行けばよいか迷う/吐き気だけが続く → 内科
- 軽い胸の不快感・動悸・息切れが続く、または繰り返す → 内科・循環器内科
- 腹痛・下痢・胃もたれ・胸やけなど、胃腸の症状が続く → 内科・消化器内科
- 発熱を伴う → 内科(受診方法を事前に電話やWEBで確認)
- めまいに、聞こえにくさ・耳鳴り・耳のつまり感を伴う → 耳鼻咽喉科
- 手足のまひなどはないが、頭痛やめまいを繰り返す → 内科、脳神経内科
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある → 産婦人科(かかりつけ)
- 糖尿病の治療中 → 糖尿病の主治医
- 薬を始めてから・変えてから吐き気が出た → 処方した医師・薬剤師に相談
医療機関で確認すること
ここでは、吐き気で受診したときに一般的な医療機関で行われることがある問診・診察・検査を紹介します。
実際に行う内容は、症状や医療機関によって異なります。当院で行っている検査については、次の「護国寺内科・循環器クリニックで相談できること」で説明します。
問診で聞かれること
- いつから始まったか、急にか徐々にか、1日のうちでいつ強いか
- 吐いた回数、吐いたものの様子(血が混じる、黄色や緑色の液が出るなど)
- 食事や水分がとれているか、尿の量
- 便の状態(下痢、便秘、黒い便)、発熱の有無
- 腹痛、胸の症状、頭痛、めまいなど、一緒に出ている症状
- 服用中の薬、飲酒、妊娠の可能性
- 糖尿病や心臓病などの持病、周囲に同じ症状の人がいるか
診察で確認すること
血圧・脈拍・体温などを測り、脱水の程度、お腹の張りや押したときの痛み、神経の異常がないかなどを確認します。
必要に応じて行われる検査の例
- 血液検査:電解質(脱水などによるナトリウムやカリウムの乱れ)、腎臓・肝臓の働き、血糖、炎症の有無など
- 尿検査:脱水の程度など(糖尿病のある方では尿糖・ケトン体も)
- 妊娠検査:妊娠の可能性がある方
- 心電図:心臓の病気が疑われるとき
- 画像検査:胸部X線(レントゲン)、心エコー、腹部超音波、CTなど
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査):胃や十二指腸の病気が疑われるとき
吐いたのが数回だけで、ほかに症状がなく元気な場合は、特に検査をせずに経過をみることもあります。
護国寺内科・循環器クリニックで相談できること
一般内科としての初期評価
当院は一般内科として、吐き気・腹痛・下痢などの胃腸症状を含め、日常のさまざまな体調不良を診療しています。
どの診療科を受診すればよいか迷う症状でも、まず問診と診察で全身の状態を確認し、必要な検査を選びながら原因を考えます。
院長は日本内科学会認定総合内科専門医、日本救急医学会救急科専門医の資格をもち、臓器にとらわれず幅広い相談に応じる診療を心がけています。
当院では、吐き気の原因を調べる際に、症状に応じて血液検査・尿検査・心電図・心エコー・胸部レントゲンなどを行います。
一般内科の診療内容は「一般内科」をご覧ください。
胸の症状や動悸を伴う吐き気は、心臓の評価も
胸の不快感や動悸、息切れを伴う吐き気では、心臓の病気が隠れていないかを確認することが大切です。
当院では日本循環器学会認定の循環器専門医である院長が診察し、心電図や心エコー、胸部レントゲン、血液検査などで心臓の状態を評価します。
心エコー検査は当日の実施にも対応しています(混雑状況によっては、お待ちいただく場合や、別日をご案内する場合があります)。
診察の結果、より詳しい検査や入院治療が必要と判断した場合は、連携する医療機関と速やかに連絡をとります。
なお、胸の締めつけ・圧迫感、冷や汗、急な息苦しさがある場合は、来院を待たずに119番に連絡してください。
心電図・心エコーでわかることは「心電図・心エコー検査で何がわかる?違いと検査の流れ」で解説しています。
内視鏡やCTなどが必要な場合
症状や診察・検査の結果から、胃カメラ(内視鏡検査)やCTなど、さらに詳しい検査が必要と判断した場合は、地域の基幹病院や専門医療機関など、連携する医療機関での検査を検討します。
検査や入院治療のあとは情報を共有し、当院でのフォローアップを続けます。
文京区・護国寺で吐き気が気になる方へ
「胃の調子が悪いだけかもしれない」「この程度で受診してよいのか」と迷う吐き気でも、続く・繰り返す場合や、軽い胸の不快感やだるさを伴う場合は、一度ご相談ください。
当院は文京区音羽にあり、一般内科と循環器内科の両面から吐き気の原因を確認します。
発熱がある場合は、事前にご予約いただくとスムーズにご案内できます(状況により、別室での対応や時間帯の調整をお願いすることがあります)。
受診の際は、マイナンバーカード(健康保険証)とお薬手帳をお持ちください。ご予約はWEB予約またはお電話で承っています。
吐き気についてよくある質問
吐き気は何日続いたら病院に行くべき?
日数だけで決めず、症状の強さと一緒に出ている症状で判断してください。
水分がとれない、吐き続けている、胸の症状や強い腹痛・頭痛を伴う場合は、日数に関係なく早めの対応が必要です。
軽い吐き気でも、良くならない、良くなったり悪くなったりを繰り返す、食事量や体重が減ってきたという場合は、一度内科で相談しましょう。
119番の目安や受診を急ぐ目安は、本文の「吐き気で受診を急ぐサイン」にまとめています。
ストレスで吐き気が出ることはある?
あります。
医学参考書でも、吐き気や嘔吐の原因のひとつとして心理的な要因(心因性)が挙げられています。
ただし、はじめから「ストレスのせい」と決めつけると、薬の影響や妊娠、胃腸の病気、心臓の病気などを見落とすおそれがあります。
ほかの原因がないかを医療機関で確認したうえで考えることが大切です。
吐き気止めを飲んで様子を見てもよい?
吐き気止めは症状をやわらげる薬で、原因そのものを治すものではありません。
薬で症状を抑えている間に、胸の症状や強い腹痛、脱水などのサインを見逃さないようにしましょう。
「受診を急ぐサイン」に当てはまる場合は、薬で様子を見ずに受診や相談を優先してください。
妊娠中・妊娠の可能性がある方、持病がある方、ほかに薬を飲んでいる方は、使う前に医師や薬剤師に相談しましょう。
感染性胃腸炎が疑われるときに下痢止めを使うかどうかも、自己判断せずに相談してください。
ノロウイルスでは、下痢止めは回復を遅らせることがあるため使わないことが望ましいとされています。
吐き気で病院に行くとどんな検査をする?
まず問診と診察で原因の見当をつけ、そのうえで必要な検査を選びます。
吐き気が強い、長引いている、脱水が心配といった場合は血液検査や尿検査を行うことが多く、心臓の病気が疑われれば心電図、胃の病気が疑われれば胃カメラ、お腹の病気が疑われれば超音波やCTなどを検討します。
数回吐いただけで元気な場合は、検査をしないこともあります。
吐き気だけでも心臓の病気のことはある?
吐き気だけで心臓の病気と判断することはできませんが、心臓の病気で典型的な胸の痛みが目立たないことはあります。
日本循環器学会のガイドラインでは、高齢の方、糖尿病のある方、女性では典型的ではない症状がしばしばみられ、高齢の方では、だるさや食欲不振などが唯一の症状のこともあるとされています。
吐き気に冷や汗、胸の締めつけ・圧迫感、急な息苦しさを伴う場合は、119番に連絡してください。
そうした症状がなくても、強いだるさがある、「いつもの胃の不調と違う」と感じるといった場合は、早めに内科・循環器内科を受診しましょう。
まとめ
吐き気の原因は胃腸だけでなく、薬や妊娠、頭痛・めまいを起こす病気、糖尿病などの代謝の異常、心臓の病気などさまざまです。
原因を考えるいちばんの手がかりは、「一緒に出ている症状」と「水分がとれているか」です。
- 冷や汗を伴う強い吐き気、胸の締めつけ・圧迫感、急な息切れ、突然の激しい頭痛、手足のまひやろれつが回らない、突然の激しい腹痛、意識がおかしいなどの場合は、119番に連絡してください。
- 水分がとれない、吐き続けている、糖尿病の治療中や妊娠中で食事・水分がとれない場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
- 吐き気が続く・繰り返す、体重が減ってきた場合は、原因を確認するために内科を受診してください。
- どこに行けばよいか迷うときは、まず内科へ。
護国寺内科・循環器クリニックでは、一般内科と循環器内科の両面から、吐き気の原因を一緒に考えます。気になる吐き気が続くときは、お気軽にご相談ください。
