「脈が飛ぶ感じがする」「急にドキドキする」「健康診断で不整脈を指摘された」このような症状や指摘を受けて、不安になったことはありませんか。
不整脈は、脈が速くなる、遅くなる、不規則になる状態のことをいいます。疲れや睡眠不足、ストレスがきっかけで起こることもありますが、中には詳しく調べたほうがよい不整脈もあります。そのため、症状があっても「少し様子を見よう」と自己判断せず、まずは正しく知ることが大切です。
特に、動悸が続く、めまいや息切れを伴う、失神した、健康診断で異常を指摘されたという場合は、早めに循環器内科へ相談したほうがよいことがあります。
この記事では、不整脈とは何かという基本から、主な症状、原因、放置してはいけないケース、受診の目安、検査、治療までをわかりやすく解説します。不整脈が気になっている方が、ご自身の状態を整理し、受診の判断につなげられるようにまとめました。
不整脈とは何か
不整脈は脈の打ち方が乱れる状態
不整脈とは、脈が一定のリズムで規則正しく打たず、速くなる、遅くなる、不規則になる状態を指します。国立循環器病研究センターでも、不整脈は脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態と説明されています。
心臓は、電気信号によって規則正しく動くことで、全身に血液を送り出しています。この電気の流れに乱れが起こると、脈の打ち方にも異常が生じ、不整脈としてあらわれます。
不整脈と聞くと、すぐに重い病気を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、実際には心配の少ないものもあれば、早めに診察や治療が必要なものもあります。そのため、まずは不整脈がどのような状態なのかを正しく理解することが大切です。
不整脈の主なタイプ
不整脈は、大きく分けると脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈、脈が飛ぶように感じられる期外収縮、不規則に脈打つタイプに分けられます。国立循環器病研究センターでは、目安として1分間に50回以下を徐脈、100回以上を頻脈としています。
頻脈では、ドキドキする動悸、胸の不快感、息切れを感じることがあります。徐脈では、息切れやめまい、ふらつきが出ることがあります。また、脈が飛ぶ感じがする場合は、期外収縮が関係していることがあります。
読者の方にとっては、病名を覚えることよりも、自分の症状がどのタイプに近いかを知ることのほうが重要です。たとえば、急に胸がドキドキするなら頻脈、脈が抜ける感じがあるなら期外収縮、立ちくらみやふらつきを伴うなら徐脈も考えられます。
心配の少ない不整脈と注意が必要な不整脈の違い
不整脈の中には、運動、緊張、精神的興奮、発熱といった日常的な変化によって一時的に起こるものがあります。こうした脈の変化は、生理的な反応としてみられることがあります。
一方で、はっきりしたきっかけがないのに突然脈が強く速くなる場合や、めまい、失神、息苦しさ、胸の痛みを伴う場合は、注意が必要です。国立循環器病研究センターでも、突然起こる異常な脈は、時に危険な不整脈となる場合があると案内しています。
また、脈の乱れが続く、繰り返す、健康診断で不整脈を指摘されたという場合も、一度循環器内科で相談することが大切です。見た目の症状だけでは、心配の少ない不整脈か、詳しい確認が必要な不整脈かを判断しにくいためです。
不整脈の症状
動悸がする
不整脈でよくみられる症状のひとつが、動悸です。動悸とは、心臓の鼓動を強く感じたり、急に速く打っているように感じたりする状態をいいます。国立循環器病研究センターでも、頻脈になると動悸が起こることがあると案内されています。
動悸の感じ方は人によって異なります。胸がドキドキする、急に脈が速くなる、胸の奥でバクバクする感じがするといった訴え方をされる方もいらっしゃいます。緊張や運動のあとに一時的に脈が速くなることは珍しくありませんが、特に思い当たるきっかけがないのに突然起こる動悸は、いちど確認したほうがよい場合があります。国立循環器病研究センターでは、明らかな誘因がないのに突然脈拍が120以上になる場合は、病的な頻脈の可能性があると説明しています。
脈が飛ぶ感じがする
不整脈では、脈が一拍抜けるように感じる、飛ぶ感じがするという症状がみられることがあります。こうした症状は、期外収縮と呼ばれる不整脈で起こることがあります。国立循環器病研究センターでも、三つに一つ、五つに一つというように時々脈が飛ぶ場合は、期外収縮の可能性があるとしています。
実際には、脈が飛ぶといっても心臓が止まっているわけではありません。期外収縮では、通常より早いタイミングで心臓が収縮するため、脈が一拍抜けたように感じることがあります。また、のどや胸の違和感、短い不快感として自覚されることもあります。
脈が飛ぶ感じがあっても、必ずしも重い病気とは限りません。一方で、回数が多い、症状が強い、背景に心臓の病気がある可能性がある場合は、詳しく確認したほうがよいことがあります。日本心臓財団でも、基礎心疾患がなく症状が強くない軽い不整脈は経過観察となることがある一方で、症状や背景によって判断が変わるとしています。
息切れ、めまい、ふらつきがある
不整脈では、脈の乱れだけでなく、息切れ、めまい、ふらつきを伴うことがあります。脈が速すぎたり遅すぎたりすると、全身に十分な血液が送られにくくなり、その結果としてこうした症状が出ることがあります。国立循環器病研究センターでは、徐脈では息切れやめまいが出やすく、頻脈では息切れに加えてめまいが起こることがあると説明しています。
特に、歩いたときに息が上がりやすい、立ち上がるとふらつく、急に目の前が暗くなる感じがするといった症状がある場合は注意が必要です。単なる疲れや寝不足と思っていても、不整脈が背景にあることがあります。症状が繰り返すときは、放置せずに循環器内科で相談することが大切です。
胸の不快感や失神を伴うときは注意
不整脈の中には、胸の痛み、強い胸の不快感、失神を伴うものがあります。国立循環器病研究センターでは、頻脈になると、動悸や息切れのほかに、胸痛、めまい、失神といった症状が出ることがあると案内しています。
失神は、一時的に脳への血流が低下したときに起こることがあり、不整脈が原因となる場合があります。胸の症状や意識を失う症状を伴う場合は、心配の少ない不整脈とは言い切れないことがあるため、早めの受診が重要です。
不整脈の原因
加齢や体質による変化
不整脈は、必ずしも重い病気があるときだけ起こるわけではありません。国立循環器病研究センターでは、脈が不規則になる期外収縮は30歳を超えると多くの人にみられ、年齢とともに増えると案内しています。回数が少ない場合は、生理的な不整脈として経過をみることもあります。つまり、加齢や体質の影響で脈の乱れを感じることは珍しくありません。
ただし、加齢による変化なのか、治療が必要な不整脈なのかは、症状だけで判断しにくいことがあります。脈が飛ぶ感じが続くとき、以前より回数が増えているとき、息切れやめまいを伴うときは、一度循環器内科で確認することが大切です。
ストレス、睡眠不足、飲酒、カフェインの影響
不整脈の中でも心房細動は、心臓に明らかな病気がない方でも、精神的ストレス、睡眠不足、アルコール、カフェインの摂りすぎ、不規則な生活がきっかけとなって起こることがあります。済生会の一般向け解説でも、こうした生活上の要因が心房細動の発症に関係すると説明されています。
また、日本心臓財団では、コーヒーを多量に飲むと不整脈が出やすくなることがあると案内しています。仕事が忙しい時期、寝不足が続いた時期、飲酒量が増えた時期に動悸や脈の乱れを感じる場合は、生活の変化が影響している可能性があります。
発熱、脱水、貧血、甲状腺機能異常が関係することがある
脈の乱れや動悸は、心臓そのものの病気だけでなく、全身状態の変化によって出やすくなることがあります。国立循環器病研究センターでは、運動、精神的興奮、発熱によって脈が速くなることは、生理的な頻脈として誰にでも起こりうると説明しています。
さらに、済生会の解説では、脱水は心房細動の誘因のひとつとされ、発熱、貧血、甲状腺機能亢進症は動悸を自覚しやすくする要因として挙げられています。日本心臓財団でも、甲状腺機能亢進症では頻脈が強く出ることがあると案内しています。脈の乱れを感じたときは、心臓だけを見るのではなく、こうした全身の状態もあわせて確認することが重要です。
心臓の病気が背景にある場合もある
不整脈の背景には、心臓の病気や生活習慣病が隠れていることがあります。済生会の一般向け解説では、心房細動は高血圧、糖尿病、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能亢進症と関連が強い不整脈とされています。別の解説でも、心臓病、慢性の肺疾患、弁膜症がある方では不整脈が起こりやすいと説明されています。
このため、不整脈の原因を考えるときは、単に脈が乱れているという表面の症状だけでなく、その背景にどのような病気があるかまで確認することが大切です。特に、高血圧や心疾患を指摘されたことがある方、息切れや胸の違和感を伴う方、健診で異常を指摘された方は、早めに循環器内科へ相談することをおすすめします。
不整脈を放置してはいけないケース
症状が繰り返す場合
不整脈は、一時的に起こって自然におさまることもありますが、動悸や脈の乱れが何度も繰り返す場合は、そのままにせず確認することが大切です。日本心臓財団でも、不整脈を指摘されたときに脈の不整や激しい動悸を感じる場合は専門医を受診し、放置してよいものか、治療が必要なものかを見極めることが重要と案内しています。
特に、以前より回数が増えている、症状が長く続く、日常生活の中でたびたび気になるという場合は、心配の少ない不整脈だけでなく、詳しく評価したほうがよい不整脈が隠れていることがあります。自覚症状が繰り返される不整脈の中には、治療の対象になるものもあります。
めまい、失神、息苦しさを伴う場合
不整脈にめまい、失神、息切れ、胸の痛みが伴うときは注意が必要です。国立循環器病研究センターでは、脈拍が1分間に40以下になる徐脈では息切れやめまいが出やすく、明らかな誘因がないのに突然脈拍が120以上になる病的な頻脈では、動悸や息切れに加えて、胸痛、めまい、失神が起こることがあると説明しています。
このような症状は、血液をうまく送り出せなくなっているサインである可能性があります。とくに失神した、強い胸の不快感がある、息苦しさが強いという場合は、軽い脈の乱れとして片づけず、早めの受診につなげることが大切です。日本心臓財団でも、失神発作を起こす不整脈や、緊急治療が必要な致死性不整脈があることを示しています。
健診で不整脈を指摘された場合
不整脈は、症状がはっきりしないまま健康診断で初めて指摘されることも少なくありません。日本心臓財団では、不整脈がありながら自分では気づかず、身体検査ではじめて指摘される人も少なくないと説明しています。
健診で不整脈を指摘されたからといって、すべてが危険というわけではありません。ただし、その場では症状がなくても、放置してよいものか、治療が必要なものかは種類によって異なります。とくに、健診結果に加えて動悸や脈の乱れを自覚している場合は、循環器内科で確認しておくと安心です。
脳梗塞や心不全につながる不整脈もある
不整脈の中には、症状そのものだけでなく、脳梗塞や心不全の原因になるものがあります。日本心臓財団では、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発したりするものがあり、早期治療が必要な場合があるとしています。
代表的なのが心房細動です。日本不整脈心電学会は、心房細動そのものは直ちに命に関わる病気ではない一方で、心房に血栓ができやすくなり、その血栓が脳に飛ぶことで脳梗塞を引き起こすため、見過ごせないと案内しています。
そのため、不整脈は「脈が少し乱れているだけ」と自己判断せず、症状が続くとき、強い症状を伴うとき、健診で指摘されたときには、一度きちんと評価を受けることが大切です。危険性の高い不整脈を見逃さず、必要な治療につなげることが、合併症の予防にもつながります。
不整脈で病院を受診する目安
すぐに受診したほうがよい症状
不整脈が疑われるときに、強い胸の痛み、急な息切れ、呼吸が苦しい、意識を失った、立っていられないほどのふらつきがある場合は、早急な対応が必要です。厚生労働省は、急な息切れや呼吸困難、胸の中央が締め付けられるような痛みが続く場合は、迷わず119番通報を考える症状として案内しています。
また、国立循環器病研究センターでは、不整脈による頻脈で胸痛、めまい、失神が起こることがあり、徐脈でも息切れやめまいが出やすいと説明しています。こうした症状は、単なる脈の乱れではなく、全身へ十分に血液を送れなくなっているサインの可能性があります。
特に失神した場合は注意が必要です。国立循環器病研究センターの失神外来でも、失神は決して軽くみてよい症状ではなく、心臓や脳の病気が原因のこともあるため、発作後は早めの受診が勧められています。高齢の方や失神を繰り返す方では、より詳しい原因精査が勧められています。
早めに循環器内科へ相談したい症状
脈の不整をはっきり感じる、激しい動悸がある、脈が飛ぶ感じが繰り返すといった場合は、救急受診までは必要なくても、早めに循環器内科へ相談したい症状です。日本心臓財団は、不整脈を指摘されたときに脈の不整や激しい動悸を感じる場合は専門医を受診し、そのまま放置してよいものか、治療が必要なものかを確認することが大切と案内しています。
また、国立循環器病研究センターでは、明らかなきっかけがないのに突然脈が速くなる場合は病的な頻脈の可能性があり、脈がかなり遅い状態で息切れやめまいを伴う場合も注意が必要と説明しています。動悸そのものが軽く見えても、症状の出方や背景によっては詳しい確認が必要です。
症状が出たりおさまったりを繰り返すときも、自己判断で様子を見るより、いちど相談しておくと安心です。不整脈の中には経過観察でよいものもありますが、心不全や失神、脳梗塞につながるものもあるため、症状が続くときは放置しないことが大切です。
様子見にせず相談したい健診異常
不整脈は、健康診断の心電図で初めて指摘されることも少なくありません。日本心臓財団では、不整脈があっても自分では気づかず、健診や身体検査で初めてわかる人も少なくないとしています。症状がないから大丈夫とは言い切れないため、健診で指摘を受けた場合は一度相談することをおすすめします。
特に、健診で不整脈を指摘されたうえで、動悸、脈の乱れ、息切れ、めまいといった症状がある場合は、早めに循環器内科で確認しておくことが大切です。不整脈の種類によっては、脳梗塞や心不全の予防のために治療方針を考える必要があります。
受診を迷うときの考え方
症状が軽いのか、すぐ受診したほうがよいのか迷うこともあると思います。胸痛や強い息苦しさ、失神を伴う場合は救急要請を考え、そこまでではなくても脈の乱れや動悸が続く場合は循環器内科へ早めに相談するという考え方が基本になります。厚生労働省と消防庁は、受診や救急車の要否で迷ったときに、地域によっては♯7119で相談できると案内しています。
不整脈の検査
診察で確認すること
不整脈の診察では、いきなり検査だけを行うのではなく、まずどのような症状が、いつ、どのくらい続くのかを丁寧に確認します。不整脈は発作が出ている時に心電図を記録できるかどうかが診断の大きなポイントになるため、症状の出る頻度や自覚症状の有無に合わせて検査を選ぶことが大切です。関西ろうさい病院でも、心房細動の診断には発作が出ている時の記録が必要で、患者さんごとの発作頻度や症状に合わせた検査が必要と説明しています。
また、標準的な心電図は心臓病の基本的な検査のひとつで、不整脈だけでなく、心筋梗塞や心筋症の診断にも役立つとされています。まずは症状の内容を整理し、必要な検査につなげていくことが、不整脈の診断では重要です。
心電図検査でわかること
不整脈の検査で中心となるのが心電図検査です。国立循環器病研究センターでは、標準12誘導心電図は、心臓の筋肉が活動したときに発生する微弱な電気信号を記録する検査で、脈の乱れや波形の異常を確認できると案内しています。記録そのものは1分ほどで終了し、着替えを含めても10分程度で行われます。
ただし、不整脈は診察中に必ず出ているとは限りません。関西ろうさい病院でも、持続している心房細動であれば12誘導心電図で診断しやすい一方、検査の時に発作が出ていなければ診断できないと説明しています。
そのため、必要に応じてホルター心電図を行うことがあります。ホルター心電図は、24時間にわたり日常生活の中で心電図を記録し、動悸、胸痛、めまいがあった時に心電図がどう変化していたかを調べる検査です。装着後は普段通りに生活でき、症状が出た時間帯と心電図の変化を照らし合わせやすいのが特徴です。
血液検査が必要になることがある理由
不整脈そのものは心電図で評価するのが基本ですが、血液検査で背景にある原因や全身状態を確認することもあります。関西ろうさい病院では、心房細動の患者さんでは血液検査を行い、心不全の手がかりとなるBNPやNT-proBNP、甲状腺機能をみるTSH、T3、T4を確認すると案内しています。甲状腺機能亢進症では動悸が出やすく、心房細動を発症することがあるためです。
つまり、不整脈の検査は「脈が乱れているか」だけを見るものではありません。原因となる病気が隠れていないか、心臓に負担がかかっていないかまで確認することで、より適切な治療方針につなげることができます。
その場で異常が出ないときの考え方
診察時の心電図で異常が出なかったとしても、不整脈がないとは言い切れません。関西ろうさい病院は、不整脈の診断には発作が出ている時の記録が必要であり、発作の頻度に応じてホルター心電図、携帯型心電計、着用型心電計を使い分けると説明しています。頻度が低い発作では、症状がある時だけ自分で記録する携帯型心電計や、心電図を記録できる腕時計型の機器が役立つ場合もあります。
また、国立循環器病研究センターでは、ホルター心電図の装着中に行動を記録することが診断の参考になると案内しています。動悸が出た時間、何をしていた時か、どのくらい続いたかをメモしておくと、診断に役立つことがあります。診察時に異常が出なくても、症状を記録しながら必要な検査を重ねることで、原因が見えてくることは少なくありません。
不整脈の治療
経過観察でよい場合
不整脈と診断されても、すべてに治療が必要というわけではありません。日本心臓財団は、治療しなくてもよい不整脈も多い一方で、不整脈の種類によっては早期治療が必要な場合があると案内しています。済生会の一般向け解説でも、軽い不整脈では無症状、または動悸を感じる程度にとどまることがあると説明されています。
たとえば、症状が軽く、検査で大きな異常が確認されず、日常生活への影響も少ない場合は、経過をみながら様子をみることがあります。ただし、経過観察でよいかどうかは自己判断では決められません。脈の乱れが続く場合や、息切れ、めまい、失神を伴う場合は、同じ不整脈でも治療方針が変わることがあります。
生活習慣の見直しが大切な場合
不整脈の中でも、心房細動は生活習慣や生活習慣病との関係が強い不整脈です。済生会は、飲酒、喫煙、高血圧、糖尿病、心不全、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能亢進症が心房細動に関係しやすいと説明しており、予防や再発予防のためには生活の見直しが重要としています。
また、同じく済生会の解説では、心房細動の第一の予防法として、睡眠不足、過労、ストレス、お酒の飲み過ぎを避けることが挙げられています。発作のきっかけが生活の乱れと重なっている場合は、まず生活習慣を整えることが治療の土台になります。
薬による治療
不整脈の薬物治療は、種類によって目的が異なります。済生会は、心房細動では発作を予防して正常な脈を保つための薬や、脈が速くなりすぎないようにコントロールする薬が使われることがあると説明しています。つまり、薬は不整脈そのものを起こりにくくする目的で使うこともあれば、症状を軽くする目的で使うこともあります。
また、心房細動では脳梗塞予防が非常に重要です。日本不整脈心電学会は、心房細動の大きな問題は血栓塞栓症の原因になることであり、抗凝固療法による心原性脳梗塞の予防が極めて重要と位置づけています。済生会の不整脈解説でも、心房細動による脳梗塞は抗凝固薬の内服でかなり予防が可能とされています。
一方で、抗不整脈薬は種類によって副作用や注意点があるため、自己判断で使い続けたり中止したりすることはできません。国立循環器病研究センターでも、抗不整脈薬治療では慎重に副作用の有無を観察する必要があると案内しています。
専門的な治療が必要な場合
不整脈の種類によっては、専門的な治療が必要になります。代表的なのがカテーテルアブレーションです。国立循環器病研究センターは、カテーテルアブレーションが、根治が難しかった頻脈性不整脈の治療に大きな力を発揮するようになったと説明しています。関西ろうさい病院でも、心房細動では薬物治療を行うか、アブレーションで根治を目指すかを検討すると案内しています。
脈が遅くなる徐脈性不整脈では、ペースメーカが必要になることがあります。済生会は、洞不全や房室ブロックでは有効な薬がほとんどなく、必要に応じてペースメーカ植え込みが行われると説明しています。国立循環器病研究センターでも、徐脈性不整脈においてはペースメーカが不可欠と案内しています。
さらに、命に関わる不整脈が起きた方や、起きる可能性が高い方では、植込み型除細動器が検討されることがあります。済生会は、突然死予防のために植込み型除細動器が使われることがあると説明しています。こうした治療は、症状だけで決まるものではなく、不整脈の種類、重症度、背景にある心臓の病気を踏まえて判断されます。
治療方針は不整脈の種類によって変わる
不整脈の治療は、ひとつの方法ですべてに対応できるわけではありません。経過観察、生活習慣の見直し、薬物治療、アブレーション、ペースメーカ、植込み型除細動器の中から、その方の不整脈の種類や症状に合わせて選ばれます。大切なのは、まず正確に診断し、放置してよい不整脈か、治療が必要な不整脈かを見極めることです。
不整脈でよくある質問
不整脈は自然に治ることがありますか
あります。たとえば、運動、精神的な興奮、発熱によって一時的に脈が速くなる状態は、生理的な変化として起こることがあります。また、期外収縮は年齢とともにみられやすくなり、回数が少ない場合は生理的な不整脈として経過をみることがあります。
ただし、自然におさまることがある不整脈と、治療や精密検査が必要な不整脈は見た目の症状だけで区別しにくいことがあります。動悸が繰り返す、脈の乱れが増えてきた、息切れやめまいを伴うといった場合は、自己判断せず循環器内科で相談することが大切です。
健診で不整脈と言われたら必ず病気ですか
必ずしも、すぐに重い病気というわけではありません。不整脈には心配の少ないものもあり、自覚症状がないまま健診で初めて見つかることもあります。日本心臓財団でも、不整脈は健診や身体検査で初めて指摘される人が少なくないと案内しています。
一方で、健診で見つかった不整脈の中には、種類によって治療や経過観察が必要なものもあります。特に、健診結果に加えて動悸、息切れ、めまい、脈の乱れの自覚がある場合は、一度きちんと評価を受けておくと安心です。
ストレスでも不整脈は起こりますか
起こることがあります。国立循環器病研究センターは、精神的な興奮によって脈が速くなることは、生理的な頻脈としてだれにでも起こりうると説明しています。また済生会は、心房細動が過労やストレスをきっかけに起こることがあると案内しています。
ただし、ストレスが関係していそうに見えても、実際には別の不整脈や心臓の病気が隠れていることがあります。寝不足や疲労の時だけだからと決めつけず、症状が繰り返すときは受診につなげることが大切です。
スマートウォッチの通知は受診のきっかけになりますか
はい、受診のきっかけになります。日本心臓財団は、最近はスマートウォッチに代表されるウェアラブル端末で心房細動の可能性を確認できる時代になってきており、家庭で脈の異常に気づく手がかりになると紹介しています。日本不整脈心電学会と日本循環器学会の2025年のステートメントでも、貼付型や装着型の心電計は、発作性心房細動や無症候性不整脈の検出に有効とされています。
ただし、スマートウォッチや血圧計の不規則脈通知だけで確定診断はできません。同ステートメントでは、脈波検知機能は診断には使えず、心房細動の診断には30秒以上の心電図記録か、医師による12誘導心電図での確認が必要とされています。通知が出た場合は、様子を見るより循環器内科で相談するのが安心です。
不整脈があっても運動してよいですか
一律にだめとは限りません。そもそも運動をすると脈が速くなるのは生理的な反応ですし、済生会も急激でなければ運動は体によい影響を与えると説明しています。
ただし、動悸が強い、胸の違和感がある、息切れが強い、めまいがする、不整脈を指摘されたばかりでまだ評価が済んでいないという場合は、無理に続けないほうが安全です。済生会は、循環器系の病気がある方では高負荷の運動に注意が必要で、かかりつけ医と相談しながら運動の強さを決めることが大切としています。運動中に胸痛や強い息苦しさが出る場合は、早めの受診を考えることが重要です。
不整脈の症状が気になる方は護国寺内科・循環器クリニックへ
動悸がする、脈が飛ぶ感じがある、息切れやめまいがある、健康診断で不整脈を指摘されたという方は、早めにご相談ください。
不整脈には心配の少ないものもありますが、きちんと確認したほうがよいものもあります。症状だけでは判断が難しいこともあるため、自己判断で放置せず、循環器内科で確認することが大切です。
護国寺内科・循環器クリニックでは、循環器専門医が症状を丁寧にうかがい、必要に応じて心電図や血液検査を行いながら、原因や受診の必要性を判断します。さらに、専門的な検査や治療が必要と判断された場合には、連携医療機関へのご紹介にも対応しています。
脈の乱れが気になる方、受診すべきか迷っている方は、お早めにご相談ください。
まとめ
不整脈とは、脈が速くなる、遅くなる、不規則になる状態のことです。疲れや睡眠不足、ストレスが影響することもありますが、中には詳しく調べたほうがよい不整脈もあります。
特に、動悸が続く、脈が飛ぶ感じが繰り返す、息切れやめまいを伴う、失神した、健康診断で異常を指摘されたという場合は、放置せずに循環器内科へ相談することが大切です。
不整脈の治療は一律ではなく、経過観察でよい場合もあれば、生活習慣の見直し、薬による治療、専門的な治療が必要になる場合もあります。大切なのは、まず正確に状態を把握し、ご自身に合った対応につなげることです。
脈の乱れや動悸が気になる方は、無理に様子を見続けず、早めに医療機関で相談しましょう。
